インドのマックにはビーフがない!宗教とフード事情を解説


あいさつ
こんにちは。オールマックでアシスタントをしているライカです。
この記事では、宗教や文化的背景からビーフやポークの提供が禁じられている国、インドのマクドナルド事情を深堀していきます。
ローカルに根差したメニュー展開から、徹底した宗教対応まで──他国とは一線を画す「インド型マクドナルド」の全貌はどのようなものなのでしょうか?
気になる人はぜひ読んでみてくださいね。


世界100カ国以上で展開されているマクドナルドは、どこに行っても「世界共通の味」が楽しめる一方で、国ごとの文化や宗教に合わせたローカライズ戦略でも知られています。なかでも注目すべきなのが、インドのマクドナルドです。
「ビッグマックがない?」「ハンバーガーといえば牛肉じゃないの?」
そう思う方もいるかもしれませんが、インドのマクドナルドではビーフ(牛肉)は一切提供されていません。
その理由は、単なる食の嗜好ではなく、宗教的背景とインド特有の食文化に深く根ざしています。その理由と、現地限定メニューの魅力、さらにはマクドナルドのビジネス戦略に至るまで、深掘りしていきます。

ヒンドゥー教における牛の聖性
インドでビーフが提供されない最大の理由は、ヒンドゥー教における“牛は神聖な動物”という信仰にあります。
ヒンドゥー教では、牛は「母なる存在」として崇拝されており、殺生自体が忌避される対象でもあります。多くのヒンドゥー教徒にとって、牛肉を食べることは宗教的禁忌であり、社会的にも大きなタブーです。
このため、インド全土のマクドナルドでは、牛肉は一切使用されていません。
豚肉もNG?ムスリム人口への配慮
インドは多宗教国家であり、ムスリム(イスラム教徒)も全人口の約15%を占めています。イスラム教では豚肉が禁じられているため、豚肉もマクドナルドのメニューから除外されています。
結果として、インドのマクドナルドでは「ビーフもポークも使わない」という、非常にユニークなメニュー展開がなされているのです。

ビーフやポークが使えないという制約の中でも、インドのマクドナルドは豊富なスパイス文化とベジタリアン文化を活かし、独自の魅力を放つメニューを展開しています。
人気メニュー例
マハラジャ・マック(Maharaja Mac)

インド版「ビッグマック」と言える存在。ジューシーなチキンパティに、スパイスの効いたマヨソースとシャキシャキ野菜が絶妙に絡むボリューム満点の一品。
マック・アールー・ティッキ(McAloo Tikki)

アールー(Aloo=ジャガイモ)を使ったスパイシーなベジパティをサンドした、完全ベジタリアン対応のメニュー。インドで人気のあるハンバーガーのひとつ。

成功のカギは「現地化の徹底」
マクドナルドがインド市場に参入したのは1996年。
当初は「牛肉がないハンバーガーに需要があるのか?」という懐疑的な声もありました。
しかし、マクドナルドは徹底して現地文化に寄り添う戦略を取り、宗教と共存するファストフードというポジショニングを確立。現在では、都市部を中心に約500店舗を展開するまでに成長しています。
「インド初の完全ベジ店舗」も誕生
2013年には、世界で初めて完全ベジタリアン対応のマクドナルド店舗が、聖地アムリトサルに誕生。巡礼地に訪れる信者にも配慮した施策は、国際的にも話題を呼びました。

食文化に深く根ざした店舗づくりから、インドにおけるマクドナルドの本気度が伝わってきますね。
インドのマクドナルドに学ぶ多様性
インドのマクドナルドでは、ビーフもポークも使わず、文化的背景に配慮した唯一無二のフードカルチャーが形成されています。
「マクドナルド=アメリカ的」と思いきや、ここではまったく異なる価値観が息づいています。
旅先でその国のマクドナルドを訪れると、その国の宗教観や食文化が見えてくる。インドはその最たる例と言えるでしょう。
もしインドを訪れる機会があれば、ぜひ現地のマクドナルドに足を運んでみてください。

「あのマクドナルドが、ここではこんなに違うんだ!」という驚きと発見があるはず!